2007年度 - 再チャレンジ支援教育プログラム

平成19年度文部科学省委託事業 社会人学び直しニーズ対応教育推進事業
Phase2:研究講座

2008年1月22日

【研究講座】就職先は森の中 ~インタープリターという仕事    
財団法人キープ協会常務理事、立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科 教授 川嶋 直

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()キープ協会について

1956年にポール・ラッシュによって創立。

富士山の約100キロ北の清里高原(山梨県)にある。現在はずっとマイナス気温。戦後まもなく設立された民間財団。同氏は20年ほどこの組織で自然体験による環境教育活動を行っている。今は業務理事として働いている。同組織はISO14001を取得している。この二年間でCO2300t削減。職員一人当たりのCO2削減は環境省の目標の2倍。

同氏の活動のキーワード

①環境教育、②自然体験活動、③ESD、④環境コミュニケーション、⑤異文化コミュニケーション、⑥CSR

学び方の基礎:教育、ワークショップ

○川嶋氏の失敗談

1980年にキープ協会でバードウォッチング。

単なる知識の紹介では、知識がある人と無い人で理解の仕方や満足度で大きな違いがある。

知識の無い人の劣等感や疎外感...「皆が知っているのに自分は知らない」「皆は楽しいけど自分は楽しくない」

高校時代からの友人からの指摘:「つまらない」⇒自分を変えるきっかけに

"沢山の知識を伝えることが、本当にその人たちにとってヘルプフルなのか?"

○川嶋氏の絵と音楽とナレーションによる活動の説明

「インタープリテーションとは、単にその事物を紹介にとどまらず、その背後にある意味を伝えるつたえる教育的活動」と。インタープリテーションの扱う分野は自然だけではなく歴史や文化も含まれます。一つ目は「説明型」。二つ目は「やり取り方型」です。そして、三つ目には「参加者主体型」があります。

「インタープリテーションとは総合芸術である」ともいわれています。つまり、インタープリテーションとはエンターテイメントでもあるのです。

インタープリテーターは「森と人との橋渡し役」。百年ほど前にアメリカの国立公園でインタープリテーションの活動が始まった。インタープリテーションをする理由は、私たちが直面する「環境問題」。

インタープリターを料理人に例えて説明。フランス料理の三國シェフの言葉を借りると、「料理人は素材のことを理解する人」。同氏は、「食べる人のことを理解する人」も料理人。そして、当然料理の技術を持っていることが必要。

 

○注意点

「私は分かっている」という錯覚を捨てるように。

「私は分かっている」、「あなたは分かっていない」という関係性をつくると途端に伝わりにくくなってしまう。コミュニケーションが成立しない。

"「言ったら伝わる」は言う側の傲慢"

※人間鉛筆理論...世の中は「分かっている人」と「分かっていない人」と言う2分法で捉えられない。人間は六角形の鉛筆のように多面的である。

※ワークショップ温泉理論...ワークショップを居心地よく感じて、ワークショップに参加すること自体が社会に良いことをしていると感じて、目的化しまうこと。

 

○質問タイム

「なぜインタープリターになろうとしたのですか?」

川嶋「なろうと思ってなったわけではなく、後になって気が付けば自分がやっていることがインタープリターという仕事なのだと分かりました。1980年代にアメリカのヨセミテ公園で自然体験学習のプログラムをいくつか体験して、それから試行錯誤してその手法を日本に取り入れました。」

 

「企業の方へも環境教育をやっているそうですが。」

川嶋「最近は企業との環境教育も増えていますが、企業の社員への環境教育、つまり社員教育は、幹部の説得が必要なので、すごくハードルが高いものです。企業のCSRの一部としてキープ協会が協力してやっている例はすごく多いです。例えば、デンソーが日本環境教育フォーラムと一緒に行っているプロジェクトがあります。」

実施後の感想等:

環境問題の解決には、ソーラー発電や風力発電の開発などの技術的な面だけでなく、環境教育に代表されるようなソフトな面での重要性を感じた。これは、まちづくりにも言えることで、土木関係者や伝統的な工法を継承している技術者だけでなく、住民による啓発やワークショップによる人の輪の拡大が必要不可欠である。現在、技術的な進歩が至る所で起こり、様々な分野が市場により刷新されるからこそ、それと同時に社会を有効に再構築するための手段としての"教育"("啓発"と言い換えられるかもしれない)、が重要になってくると言える。(大西良輔)

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