2007年度 - 再チャレンジ支援教育プログラム

平成19年度文部科学省委託事業 社会人学び直しニーズ対応教育推進事業
Phase2:研究講座

2008年1月23日

【研究講座】「もったいない」精神で起業する自然食レストラン    土と命と愛ありてーティア 元岡 健二

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実施記録:

 教員(今里)による講師の紹介の後、テーマに沿った内容で約1時間半の講演が行われた。また、当日参加していた農業に取り組む院生を交え、インタビュー形式で進められる場面もあった。講演の要旨は以下のとおりである。

 元岡氏は外食チェーン店社長などを経て、98年自然食レストラン「土に命と愛ありて-ティア」を熊本市で創業。普通のレストランが輸入食材を使うなどコスト削減に走るのに対し、高コストの有機野菜を使ってどの世代もおいしく健康に食べられるレストランで、現在は直営店の他、同じ志を持ち経営母体の違う店舗も各地で展開されている。「もったいない」精神で起業した「もったいない食堂」は、規格外の野菜や魚介類を積極的に使うことで注目を集めている。どのような取り組みなのかは、VTRの上映を通して紹介された。思いを実現するためのお店へ結実していくまでの経緯から、「もったいない食堂」で使われる食材の紹介がなされていく。採れすぎた魚、足の切れたタコ、二股のにんじんなど、活かされなかった食材を利用することで生産者を支える。外食産業が小規模生産者を支えることから、生産者の思いを消費者にしっかり伝えたいと述べている。

 続いて、聴講にきていた院生の長澤氏にマイクを向け、インタビュー形式で進められた。長澤氏は講演の最初に登場した「大きすぎる大根」の生産者である。なぜ、大きすぎると出荷しないのかを尋ねた。長澤氏によると、普通出荷時期を逃した野菜は、自家用に利用する程度で、残れば畑に鋤き込むのだと言う。出荷をしたかったが、納入先から収穫待ちを言われたことで大きくなり過ぎ、箱にも入らなくなったため、出荷をしなかったのだ。こうした生産者声を聞きながら、「もったいない食堂」での食材は調達されていくのである。

 壬生菜について、受講者に「壬生菜を食べたことある方?」「菜の花を食べたことのない方は?」「では、壬生菜の花を食べたことある方は?」と問いかけ、「花嫁」を例にあげ、「花」から「種」へ話題を移し次世代への思いを語った。長澤氏は種の自家採取をしている。その壬生菜の種が、長崎に来ているのはどうしてかを尋ねた。長澤氏によると、自分の気に入った、特性のよく出たものを選んで種を取っている。何故長崎に種が行ったかというと、京野菜といって育てられていた壬生菜が「化けて」いるのを見たからであると言う。交雑しやすい種類であることから見ておられず、種を送ったという経緯を紹介した。その後、F1種子や遺伝子組み換え作物についての話題となっていく。同じく院生の渡辺氏も農業に携わっているので、元岡氏からのインタビューに答え、生産現場からの声を述べた。元岡氏は、二人の生産者を「財産である」と賞した。そしてこれからの若者に、自分が作った野菜で料理をし、生産と消費をつないでいくということを、誇りを持って取り組んで欲しいと語り講演を終えた。

実施後の感想等:

 この研究講座を企画した趣旨を企画者の今里先生は、元岡氏とその実践について次のようにまとめている。「外食産業に新たなコンセプトとミッションで次々と挑戦を続ける辣腕の経営者であり、高コストでありながら、そのミッション性を犠牲にせずに営業を成立させるノウハウを学ぶことができる。それは『もったいない』というミッションを、独自の経営哲学と行動力で次々とかたちにしていく社会的企業の取り組みである。」

 特に外食や中食分野での起業の意義と経営戦略について、具体的事例を通じて学習することができ、目的にかなうものであった。また、レストランという形態での社会起業の可能性についても理解が深まったのではないだろうか。

 公演後の質問に対しては、受講者からの具体的な内容に応え、講演以上に熱のこもった回答となっていた。(西村和代)
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