2008年2月 2日
【研究講座】「藍師とは 日本人の仕事と伝統」 藍師 新居 修

実施記録:
14:00開始 挨拶 新居修氏の紹介
企画主旨の説明----伝統文化が失われて行っている今日、これまでの歴史の中で消滅の危機を乗り越え、今に残してきた伝統技術である「すくもづくり」を通して、なぜ伝統を継承していくことが必要なのか、またいかにして継承していくかということを考える場にしたい。
14:05 DVD上映 「すくもづくり」
藍を栽培しすくもになるまでの工程を記録したもの。新居氏本人の仕事風景を撮影したもの
14:25 新居修氏の話
・一つ一つの工程について、説明。映像では匂いが出ない。切り返しの時の
発酵臭は強烈で、その中での作業は一番つらいところ
・新居氏がすくもづくりを始めた昭和40年ごろには、最盛期に200ヘクタールほどあった藍畑は徳島全体で4ヘクタールまで落ち込んでいたが、現在は25ヘクタールまで広がった。
・藍の栽培用の機械はなく、様々な農具を独自に改良、工夫して使っている
・発酵過程でむしろを使う。それはわらについている発酵のためのパチルス菌がついているためでもある。しかし、今は米農家もコンバーターでわらが刈られるため、長いままのわらがなく、むしろが手にはいりにくくなっており、すくもづくりを継承する上で、これからの問題である。
・(わらに関係して)農業者の高齢化とともに徳島中山間地の田畑は荒廃の一途をたどっている。就農者を増やし、もっと米の生産を増やし、余った米は家畜の飼料に回すなどのシステムを作るべき
・国指定阿波藍製造技術保持者は現在新居氏を含め4名。後継者を育てることが必要。そのための国の支援は無いに等しく、伝統を存続させるためには、自分たちの強い思いと努力が必要
・仕事は、手取り足取り教えられても覚えられない。自分で一からやらなければいけない。
・すくもを大量生産することはできない。現状のままで、製藍所をいかに残していくかが大切。
・同じすくもを使っても、藍建てする場所や人によって色は変わる。しかし、「ええなあ」という共通した色は存在する。そういう色を出すよなすくもづくりをすることが大切。しかしまず一番たいせつなのは、染師や作家によろこんでもらえるような色を出すすくもづくりをしていくこと。
藍のお茶とおせんべいを試飲試食
15:15 休憩
15:25 自己紹介も兼ねて質疑応答
・藍を広げるための工夫は?----展覧会をすることでファンを増やす。また、製品を購入するのではなく、藍建てを教え藍染めを教えることでファンを増やすこと
そして自らも必ず藍
染めのものを身につけること
・種は伝承のものか?----それぞれの製藍所が、来年のために種採取用に確保してい
る
・農薬は?-----虫が付きその勢いはすごいので、消毒はしているが、自分の手に届く範囲で行っている。
・藍は色落ちするのがいいのか?----きちっとした仕事をした藍染めは、仕上げノ時に余分な色素を徹底的に落とすので色落ちは少ない、一般的に思われるほど堅牢度は悪くない。ジーパンの藍などは化学染料ですぐ落ちる。
・どんな立場で仕事をしているか?-----染める人が出したい色を出せるようなすくもづくりがしたい
実施後の感想等:
皆が向かい合って座り、話易かったかと思うので、受講生から質問もし易く、新居氏の藍にかける思いや、仕事に対する姿勢、考えがよく理解できたのではないかと思う。個人的感想としては、途中、過疎化の問題や、日本の農業問題についての話が出、伝統産業と土地の関係は切り離して考えることはできず、日本の農業を元気にすることを早急に考えなければ、よいものすべて失われてゆくという危機感を強く持った。(大石尚子)


