2007年度 - 再チャレンジ支援教育プログラム

平成19年度文部科学省委託事業 社会人学び直しニーズ対応教育推進事業
Phase2:研究講座

2008年2月 8日

【研究講座】「地域資源に着目した着地型観光事業の意義 ~大阪のまちをプロモートして考えたこと」    
株式会社道頓堀スタジオジャパン取締役 小田切 聡

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実施記録:

 講師の自己紹介の後、テーマに掲げられた用語の解説が行われた。適宜パソコンにて統計情報や写真情報、またインターネットのウェブサイトを投影しながら、1時間半弱の講演がなされた。講演の要旨は以下のとおりである。

 まず、地域資源というのは、そのまちにしかないこと、歴史的なもの、そういったものある。東京から見ると、大阪にはたこ焼、お好み焼、そういったものしかないと思われているが、大阪には食文化、歴史、近代建築、コナモン、演歌、おばちゃん、在日、コテコテ、吉本、派手、上方文化、人情、商都、水都、などの地域資源があることが示された。

 次は、行き先のことをあまり知らない人間が作っている発地型観光プログラムと、行き先のことをよくよく知っている地元の人が作っている着地型観光プログラムの違いが説明された。そもそも旅行会社は新幹線や飛行機、また旅行を手配することが得意な反面、企画は不得意であることを踏まえ、地域資源に着目した着地型観光プログラムが「へぇ、大阪ってそんなものがあるんですか」と商品化されていく背景が示された。

 あわせて、財団法人日本交通公社の旅行者動向2005など、観光にまつわる統計情報が紹介された。特に、観光スタイルの変化として、より深い楽しみを求める気持ちの変化、「本物らしさ」を体験といった旅の形態の変化、旅人と地域の人たちとの関係の変化、などが、現在の事業の背景にあることが示された。

 これらのデータからも、お仕着せの観光を駆け足で早回りする既存の団体旅行主体の観光では、多様化した個人の知的興味を満たすことはできない、と確信したという。和歌山など、他地域の事例も交え、自身がプロデュースしているツアーが紹介され、参加者の関心を招いた。

 最後に、「ほんまもん」、「日常的異日常」、「体験」の3つのキーワードから、話をまとめ、「まちのスピードにあわせる」、「案内」、「視点を変える」、「食べる・買う」ということを重視して、地元に近づいていくと、着地型のプログラムが出来上がると、実践の知恵が紹介された。あわせて、今後の課題として、継続性のある企画のモデルをつくっていくために、もっと「消費」と「雇用」を考えていかなければならないと考えていると示された。

実施後の感想等:

26歳で企業在籍中に起業し、さらに28歳で離職して、独立開業したダイナミックスを、地域への熱い思いに重ねて語ったことは、比較的年齢の近い院生はもとより、概ね年下であった受講生たちに脅威と羨望をかきたてたのではなかろうか。特に、事業実施の際には多彩なバックデータを収集しつつ、熱意と意志を強く持つことの必要性を認識できたのではないかと考えられる。これは受講生等からの質問内容からも推察できる。例えば、観光の業界における「インタープリター」の素養や育成の方法、またシニア層の活用のあり方、秋葉原と比較した上での日本橋に対する評価、旅行業法への対応の方策、など、多岐にわたる質問に、誠実に応える姿勢から、ソーシャル・イノベーターとして必要なものは何かを学び取ったのではないか。(山口洋典)

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