2008年2月18日
【研究講座】テレビ番組も「地域」もつくる住民ディレクター
―住民ディレクターの発案から起業、そして伝播へ― 有限会社プリズム
岸本 晃

実施記録:
本研究講座は、住民自らビデオカメラを持ち、番組を製作し情報発信を行う「住民ディレクター」活動を考案した岸本晃氏を招いて行われた。以下が講演の要旨である。
まず、岸本氏より住民ディレクターの発案に至るまでの過程が紹介された。さまざまな仕事をしながら各地を転々としていた岸本氏は、熊本にテレビ局が開局されるにあたり入社。記者やカメラマン、プロデューサーからディレクター、ドラマ制作まで、局内の幅広い仕事をこなしながら、熊本県内を取材してまわった。その中で、記者が取材し、発信されなければ、地域で発生している様々な問題、叫びがニュースにならないことに気づいた岸本氏は、住民にテレビを使ってもらうべきだと考えた。そこで発案されたのが住民ディレクターである。
テレビ局での活動に限界を感じ、テレビ局を飛び出した岸本氏は、「テレビ局の持っているノウハウを地域の人びとが使えば、地域振興につながるはず。このノウハウを、自分の生き方を豊かにするために使ってほしい。」そんな思いで住民ディレクター活動に取り組む。地域の人びとと共に生活しながら、その息吹を感じる番組をつくる。また、地域の人びとが自分の伝えたいことを映像でもって自己表現する。活動を展開していくと、自己表現によって気づきを得た人びとや地域が元気になっていった。熊本県山江村の有志で行っていた住民ディレクター活動は、やがて村全体の取り組みとなっていく。
ここで、山江村で制作された住民ディレクター番組が放映された。その中には、「なんかわからんままにやってたけど、自分を見る目、地域を見る目が変わった。」という村人の言葉や、生き生きとタレントをこなす村人の姿が映し出された。
住民ディレクターの活動はやがて他の地域に伝播していく。県の依頼で熊本国体の住民ディレクターによる放送を行ったり、岸本氏の手がける住民ディレクター講座によって、東京杉並や福岡県東峰村、京都府綾部市などで実践がスタートしている。現在の住民ディレクターは4歳から92歳まで、農村都市問わず誰にでも、どこでも実践できる。住民自らが発信する地域に根ざした情報や、活動を通して住民が培っていった企画力や取材力、そして人と人との関係こそが、実のある地域振興を実現できる。活動には全国から期待が寄せられている。


