2007年度 - 再チャレンジ支援教育プログラム

平成19年度文部科学省委託事業 社会人学び直しニーズ対応教育推進事業
Phase2:研究講座

2008年2月20日

【研究講座】伝統産業の復興の可能性とその必要条件
~日本竹筬技術保存研究会の現場から~    日本竹筬技術保存研究会会長 「下村ねん糸」店主 下村 輝

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実施記録:

 講座は講師と受講生が対面式で座り、専門用語も頻出したことから、不明な点は随時質問してもらいながら話を聴くスタイルをとった。日本竹筬(たけおさ)研究会会長である下村輝氏は、ねん糸業を営んでいる。繭から絹糸を取り出し、糸にし、糸屋に納めるまでの生業を行う。糸は主に手織をし、草木染めを行う人に求められるため、機械織機が求める糸とは正反対とも言える性質が求められている。そのため、絹糸に関することと、手織をしている人の情報には厚い。2008年度に補助金が打ち切られるため、下村氏は今年度に日本国内の全繭農家が廃業に追い込まれるだろうと予想している。今後は、国産の絹糸は作れない。しかし国産糸は着物用に作っていないため、むしろ海外の原始に近い糸の方が向いている。製品表示は絹100%とは書かれるが、中国製の糸とは書かれない。中国で織られた糸とは書かれるが。現在の日本の糸屋は、糸を作る職人の腕も落ちている。数をこなせていないので、技術が上がらない。

 竹筬については、実物と映像資料を示しながらの解説を行った。筬という道具の説明をし、筬の作り方の説明をし、日本竹筬技術保存研究会のことに触れた。竹筬作りは完全に分業化されていたことにより、一工程の職人が居なくなると他の工程も共倒れし、竹筬は作れなくなった経緯を紹介した。「文化として、仕事として繋げていかないと、皆さんの仕事がなくなりますから。」と下村氏が話すと、呉服販売屋である受講生から「お客さんと対峙している者もそういう事を知っている必要があるのですね。」という感想がもれた。では、本題である竹筬の復興の可能性とその必要条件はいかがなものか。まず、復興の可能性であるが、肝心の竹筬の作り手についての現状が紹介された。仕事として、竹筬作りのみで生計を立てていくことはまず不可能であるため、自然と若手では無理が生じ、年金暮らしの方や主婦層が中心となる。竹筬作りの場に参加することで、参加者は手先や頭を使い、人と話し、織り手に喜ばれることから満足感を得られる。職人はどれだけ高齢でも仕事が行えれば定年は無い。そのため、サラリーマンを定年退職した人が作り手として有望視できる。必要条件は、一つの完成品を作るに当たり、その完成品のみではなくて、それを支える材料作りにも光を当てる風潮にすることが求められる。最後に、下村氏から5種類程の繭をお土産に貰ってお開きとなった。


実施後の感想等:

下村氏から、ねん糸屋としての視点から織物業界を見つめる話が聴けれた点が個人的には新鮮であった。参加者のうち、遠藤さんは絹糸に通じていたが、他のお二人は理解しやすい内容であったか不安が残っている。絹糸や織物をよく知らない方への補助資料が足りなかった点を反省している。(鳥居史絵)


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