2009年10月10日

身近な問題解決から:事例研究    吉野 智和(NPO法人!-style 統括マネージャー)・ 元地 裕子(アクシ株式会社 代表取締役社長)

吉野.JPG【!-style】
 「!-style」(エクスクラメーション・スタイル)はNPO法人名であり、NPO法人、株式会社J・F・Sを統括するプロジェクト名でもある。プロジェクトはFactory(生産部門)、Design(デザイン部門)、Foods(飲食部門)、Store(流通・販売部門)、Brain(コンサルタント部門)という各セクションの連携で成り立つ。障がい者の可能性や仕事力を最大限に引き出し、一資源として社会に認められる・求められる存在になることをミッションとされている。
 福祉施設での生産は手作りなので小ロットの注文に対応できる点、施設によっては休眠状態の生産設備がある点などを強みにし、プロのデザイナーを活用することで市場と販売ルートを確立された。プロジェクトは障害者を支援するNPO法人に企業力を付加し、株式会社には自社製品のための工場拠点をもつという補完関係をとり、相手先との契約都合に合わせて法人を使い分けている。
 これまでに大手通販企業と商品の開発・販売等での連携、店舗内装企業とタイアップで新たなブランドを開発、直島のみやげ物店へのオリジナル商品の企画提案がプロジェクトを通して実現された。また、京都授産振興センターが運営する「はあとガーデン」には!-Factoryで加工した食品を真空冷凍で提供しており、作りたてに近い美味しさ、レストランでの簡単な加工方法の確立、施設生産の農作物利用のほか、他のレトルト業者と取引するよりもレストラン側に高い利益分配を行っている。
 課題は、今後事業発展をするための人材育成。求めるのはソーシャルクリエーターとなりうる人材と明確である。しかし、今後、初期スタッフとはモチベーションの違いがある後進に対し、理論的に育成できかという点にある。

 

 

 

【アクシ株式会社】
元地.JPG 在日アジア系外国人の方たちの前向きでおもてなし上手な面に接し、彼女たちのホスピタリティーが発揮できる就業現場として介護分野への在日外国人派遣事業を思いつかれた。長年日本に在住する外国人を教育し、就業の手助けをするという点が、外国人を招いて行う国の介護事業とは違う点である。
 派遣前研修として日本社会での重要事項(挨拶・時間厳守・人間関係など)、介護施設のシステムや専門用語、日本語教育、OJT形式の研修などサポート体制に重点を置いているが、当社・派遣先・スタッフとの信頼関係を構築するのに時間がかかり収益に結びつきにくい部分がある。しかも人的センスが必要な仕事のためフォローする社員の人材獲得が難しい。しかし、採用された派遣スタッフはヘルパー2級を持つ人や同じ就業場所で長期働くなどスキル、就業意欲ともに高く、高齢者の方に人気がある。語学ハンデがある人でも介護記録がつけられるようなシステムに変更すれば現場での問題は特にない。
 課題は、外国人への偏見があり時給が安くないと仕事が取れないことである。営業を日本人が通いにくい所などにかけて競合対策をしている。また、現在派遣に対してイメージが良くないので、紹介予定派遣以外の付加価値をつけたサービス開発の必要性がある。外国人が介護する具体的なイメージを持ってもらうために自社HPの改善・動画のアップなどを計画している。

 

<Q&A>
【!-style】受講生からは、ネットワークの作り方、起業のきっかけ、NPO法人と株式会社の使い分けの方法等の質問があり、営業方法、福祉施設での職員時代に感じた「就労者へはがんばれ・バザーの客にはがんばって作りました」という姿勢への反感、社会的イメージに対応して法人それぞれの特性を生かしていることを説明された。
【アクシ株式会社】具体的な事業内容や施設の傾向等についての質問に対し、在日外国人のビザ(日本人と結婚して永住権がある)、登録型派遣の理由、ヘルパー資格の有無、利用施設からの好評の声(日本人より日本人らしい)などを説明された。
 両社共通して情報発信に関しての質問には、新聞記者のバイアスがあるのでメディアを選別すること、HPの重要性、プレリリースの利用などを挙げられた。最後に原田氏の「事業を始めて良かったことは?」という質問に、喜んでくれる人がいること、勤め人にはありえない人生経験、人間関係が180度変わったことと応えて頂いた。


▲このページの先頭へ