2009年10月17日

市民社会論~現代の市民社会と市民力1    今里 滋(同志社大学大学院総合政策科学研究科 教授)

今里1.JPG 「市民社会」という言葉は馴染みが薄いが、概念は古代アテネのポリス、イタリアの都市国家、イギリス市民階級の革命、京都・博多・堺の町衆などに通ずるものがあると解説される。一定した定義はないが学術的には、家族と国家の中間的にある(地域のために活動しようする)領域で、そこでは「アクターたちは市場的利益も国家内の権力も追求しない」という。世の中は、税金さえ払えば政府が面倒を見る福祉国家(ガバメント)から、住民自身が公共問題を解決することを権利・義務と自覚する社会(ガバナンス)へあり方が変化した。その実践として、今里氏が経験された活動について写真を交えユーモラスに紹介された。自身が地域社会の問題に気づき地域活動(運動会、消防団等)へ参加して行く過程、問題解決が出来なくなった自治会に代わって(なぜできないか戦中からの歴史も振り返りながら)箱崎まちづくり協議会、筥崎まちづくり放談会を結成した経緯、その会で実行したオープンテラスの設置、障害児学童保育、市民劇場の建設、カーシェアリング、無農薬有機野菜のコミュニティレストラン経営、田舎事業としてのグリーンツーリズムや長崎版イベリコ豚の生産などを次々に披露された。


 実践された「ソーシャル・イノベーション」は二つ。一つは住民自治(地域で地域を守っていくということ)、もう一つは、地域社会の中でビジネス(知的障がい者の学童保育、劇場、レストラン)を展開し社会的価値(みんながそれはいいことだ、と応援してくれるということ)を生み出したこと。住民自治・社会起業をそれぞれ柱としていけば、税金が高い北欧型の政策でなくても"そこそこの税金"で快適に暮らしていける社会が築けるのだと、今里氏は説かれた。


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