2009年11月21日

「農と食」で起業する 2    鈴木 誠(株式会社ナチュラルアート CEO)

鈴木.JPG このような世の中になったのは世の中全体がバランス感覚を欠いたからだと鈴木氏は述べる。利益が出れば人は次にそれ以上を望むが、適正利潤以上を出すためには誰か・何かを「いじめる・無理強いする」ことになる。そのことで瞬間的に利益がのぞめても持続可能な状況ではない。同じことがの農業業界にも言えて、適正レベルまでの生産量拡大(シェア)は利益を出す上で必要だが、生産者は作りっぱなしにするのではなく、作る技術力と販売力のバランスをとることが価格権限を持つ流通業界に対等に発言権を持てる、または独自のマーケットを築いていくことにつながると鈴木氏は説く。


 異常気象や社会・政治・経済など、我々をとりまく環境は日々強烈なスピードで変化する。鈴木氏は「最大の目標はこの変化の中で生き残る持続可能な農業経営」と述べる。もしこれまで作物・畜産の品目を絞って生産していたらナチュラルアートは変化にのみ込まれていた。しかし、多種品目の生産で利益を補い合ったので全体で収益を上げた。確かに、農業は他の産業と比べてノウハウ・経験値を積み重ねることに時間を費やす。しかし赤字の垂れ流しでは持続可能は経営は出来ないのである。


 人口問題・異常気象など不平等な状況が世界中にある。作物の市場での取り合い、輸出規制、恣意的な相場上昇等、食料が国際政治に使われ低所得者が食料を買えない状況が生まれており、低食料自給率の怖い点はここにある。鈴木氏はこのままでは食料のインフレにつながり、解決するには国内農業の振興しかないと強調された。


 日本の農業業界が衰退している(農業従事者・生産規模の減少)のは事実で、それを認識して現実的にどう対処すべきか。鈴木氏は、既存の業界・常識に囚われない自由な発想が必要と述べる。農協の善悪論に縛られず、良いところは伸ばし悪いところを直す。異業種参入は歓迎だが、業界ごとの時間軸の違いや農村文化を理解しないで軽率に参入するため度々問題が起こっている。一方、農業業界は一人親方が多いので業界内外のネットワークをうまく築けていない。長期的視点をベースに、社会に対する影響、貢献を考え他業界と組んで技術・仕組みを取り入れ、新しい人達との枠組みで新しい産業としての農業をつくることが重要であると鈴木氏は説いた。


 受講生からは販売に関して心がけたこと、どうやって農家の人と仲間になるのか、長期思考型の時間基準、食料自給率に関して生産者になるのではなく自給自足をすることについて、異業種を取り込もうとする行政の姿勢など多くの質問が上がった。それに対し、営業は正直であること、農家の人自身が仲間になるかどうか決めることなので無理強いしないこと、ナチュラルアートは100年を長期思考として持っていること、自給率に関して全ての人がプロになる必要はないこと、行政・企業ともに長期的視点がない点などを説明いただいた。


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