2009年11月28日

「社会的弱者支援」で起業する1    海津 歩(株式会社スワン 代表取締役)

1128海津さん.JPG  ヤマト運輸創業者の故小倉昌男氏は、作業所で働く障がい者の給与が5,000円/月であることを知り、売れるものを作っていないから儲かっていないんだと認識された。そこで、毎日消費されて人前に出られる楽しい仕事ということでベーカリー業に着目された。「動機が善なら不可能はない、理念は不退転」「勧善懲悪、損得より善悪・正義は勝つ」「顧客第一、需要は経営者が創る」等、現在小倉イズムを継承し黒字経営を実行されているのが海津氏である。


 スワンベーカーリーでは障がい者を戦力と考える。誰にでも得意不得意はあり、障がい者は単に出来ないことが顕在化しているだけだと海津氏は述べる。経営特徴は組織で機能するという点で、その人の長所を生かして短所は仲間が助ける全員経営である。そのために仕事を単純細分化し、一人が出来るようになることを多く作る。その小さな成功例の積み重ねが仕事の楽しさ、自己の成長、必要とされていることを感じさせるのだと述べる。そこから「当事者意識・義務感→使命感」への変化が各スタッフに芽生え、モチベーション(最大の経営資源)が高まる。お昼時の混雑時に顔を真っ赤にして一生懸命に働くスタッフのお話は非常に印象的であった。海津氏いわく、「彼らは仕事を通じて自己実現している」のである。


 また、海津氏は障がい者の能力を「青天井に見る」と述べる。スタッフには、PCのブラインドタッチをマスターして寿退社した人、チョークアートでお店の入り口を飾る人、バリスタの勉強をしてラテアートをつくる人など能力を開花させている人が多い。一方、新しく物流部門を設けて配達データの入力、重度障がい者の在宅就労など「戦力」である障がい者の仕事開発もすすめている。あくまで商品力で他社と勝負するスワンベーカリーは、ブランドコンセプトや環境・健康配慮の商品開発・サービスで差別化している。海津氏は「人間は誰もが死ぬまでに弱者体験をする」と述べる。日本の労働人口が減少している昨今、障がい者の労働問題はもはや他人事ではない。


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