2009年11月28日

「社会的弱者支援」で起業する2    関根 千佳(株式会社UDIT 代表取締役/情報のユニバーサルデザイン研究所 所長)

1128関根さん.JPG 関根氏は米国に滞在中、活動的に車椅子で出歩く人々、老人ホームで企業する障がい者、大学でPC検索する全盲の人に出会い、彼らがそのように活動できる社会環境であることに刺激を受け、帰国後、社内でITによる障がい者支援ベンチャーを立ち上げた。関根氏は、日本の製品・インフラ・組織等は全てにおいて「健康な中年男性」を想定したつくりになっていることに疑問を持ち、またユニバーサルデザイン(UD)という考え方に出会ったことで、ソフト面だけでなく商品・制度など様々なものへの可能性を感じて独立された。人間は誰もが一時的な健康体に過ぎないという認識から、UDITは幼児、老人、妊婦、障がい者、外国人等だれもが使いやすい製品、IT機器、Webサイトを研究・提言する日本での先駆けとなった。UDITではネット環境を活かして社員全員が在宅勤務で、子育て中の女性、高齢者、障がい者など様々な背景を持つスタッフが在籍する。複数の障がい持つスタッフは、その経験を活かして様々な研究開発を行うなど皆で個々の能力を発揮されている。


 UDのコンセプトは、年齢、性別、能力、体格にかかわらずより多くの人が使えるように「最初から」考慮して製品・まち・情報を作るプロセスであり、バリアフリーのコンセプト(後から補助する)が高齢者・障がい者対象とすることとは大きく異なる。製品にする以上は売れることが必須で、関根氏は「かっこよくない」とUDとは言えないと説く。4カ国語を表示した京都市のバス案内、障がい者・高齢者・ベビーカー客がリピーターとなる三重の温泉旅館の例は、ニーズがある人には配慮されていると感じるが、そうでない人には知らずに通り過ぎてしまうという共通点があり、それもUDの特徴である。しかし、日本はまだUDに関する法律整備が不完全であったり、行政・大学・民間のUD化が遅れた現状で、関根氏は、まずは市民が意見を出すという意識向上が必要である(クレーマーになるのではなく、問題点指摘・改善点提案・良い点をほめるというプロセス)と説かれた。現在、障がい者の7割が高齢者であり、人間は必ず老いるのだから、誰しもいつかUDが必要と判る時が来るのである。


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