2010年1月23日

倫理の市場化~持続可能なライフスタイル価値の創造・第三の消費~    熊野 英介(アミタホールディングス株式会社 代表取締役会長兼社長/アミタ株式会社 代表取締役社長)

熊野さん.JPG アミタ株式会社は、創業1977年、33年の歴史を持つ総合的な環境のソリューションを行う企業である。創業当初は非鉄金属専門の問屋であったが、第二次オイルショック、円高ショックなど様々な不況を経験する中、顧客の工場から発生する産業廃棄物中のニッケル含有量が、天然資源における含有量よりも濃度が高いことに着目し、産業廃棄物からニッケルの再利用を行う事業を開始された。まだ当時の世の中には資源のリサイクルという考えはなく、学者の批判や商品として理解されないこともあったが、安定供給・品質保証を掲げ事業を成功された。

 熊野氏は二宮尊徳の言葉「道徳なき経済は犯罪である、経済なき道徳は寝言である」を引用され、ソーシャル・ビジネスを行う人には寝言が多い一方、真にベンチャー・ビジネスの難しさとは、儲け続けることと述べる。簡単に儲けられたら大資本が入って来るのであり、難しいからこそ難易度が競争力のノウハウとして生きるのである。経営者は模倣不能性と状況に対する適応性、この二つの矛盾をコントロールしなければならないと説かれた。

 また、熊野氏は「本当の社会のニーズとは?」と問いかけられる。衣食住が満たされた現代は、所有欲が豊かさの象徴の時代から、豊かな時間を得ることが豊かさである時代になった。そして、仕事は豊かな時間を得る場(やりがいを提供)になり、そういう会社には人が集まるのである。かつて日本には庶民が文化を築き、文化を競うことで豊かさを得て、朝顔市等、豊かな時間を供給するコミュニティーの原点があった。人間が人間らしく生きていた。行政や大企業にはない考えだからこそ、ここがベンチャーチャンスとなる。具体的な事業例として、京都府京丹後市での「森林酪農」を紹介され、環境問題対策は部分ではなく総合でやってこそ解決となるという視点から、放置された山を酪農で再構築する実験を実施されている。

 受講生からは、自身の事業に関する相談、会社内の想いの共有、豊かさ等について質問があがり、サービスや価値を細かく要素に分解することをアドバイスされ、民が民のために行う公共ビジネスが、第三の消費(生きがい)を促すことを説明された。


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