2010年1月31日

"チャレンジド"の自立をめざして~アートによる就業支援ビジネス・モデルの構築と展開    アトリエインカーブ クリエーティブディレクター/社会福祉法人素王会 理事長

今中さん1.gif 「アトリエインカーブ」は「つくる」・「描く」ことが好きでたまらないアーティストが、心置きなく創作に没頭できる場の提供と、生み出された作品が一番輝く方法を探すこと、彼らの作品を純粋に評価できる人材を育成することをミッションに、誰もが「普通なしあわせ」を感じることができる社会となること(Social Design)を目標とされている。今中氏は大手デザイン会社に在籍中、ご自身がお持ちの障がいと向き合う機会があった。それがきっかけで自身の「お役目」とは何かを考え始めた。たまたま友人のところに面接に来た知的障がい者の方と知り合い、福祉の現状(作業所・給料・労働等)を聞き、彼にはアートの力があるのに、世の中のシステムに迎合したところで生きていかなくてはならない現状に憤りを感じられたのが始まりである。


 NPO法人と違って、「社会福祉法人」を設立するためには厳しい要件(土地・費用・設備・連帯保証人・社会福祉事業者としての経験等)があり、一旦認可されれば税金が投入されるため、行政側の態度も厳しく、また知的障がい者を知能指数でしか見ることができない行政には、「アート」という新しいものさしへの理解は得難いもので、設立まで・設立後も大変ご苦労をされている。


 かつて使用された「アールブリュット」、「アウトサイダーアート」という言葉は、インからアウトを見る差別的視線と、それを商業的価値と見出した表現であると今中氏は説く。そういうものを取り払った純粋な現代美術としての評価を得るための努力や、「アート」の世界では評価される人・されない人がいるのも事実で、日々葛藤されている。


 受講生からは、設立までの道のりや活動方法、スタッフの質、「インカーブ」のようなものの設立の可能性、学校教育現場とアート感覚の育成、どこで作品が鑑賞できるのか等あらゆる質問があがり、今中氏は、非常にレベルの高いスタッフを採用する基準・採用方法や、教育に寄与しようとして「アートライブ」を開催した際の苦い経験、行政と福祉の関係について等、時間の許す限りお答え頂いた。受講生達は既成概念・用語・モノの見方等、「観点変更」の重要性を痛感した。


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