2010年2月 6日

過疎化する地域の再生~ツーリズムと地域活性化を融合させるビジネスモデルとは    山根 多恵(温泉津温泉 旅館吉田屋 女将/地域維新グループ 代表)

山根さん1.jpg 「観光」の視点が旅館・ホテル等観光産業の受身から、地域の伝統文化、食と農などの地域財を活かして各々付加価値を付けながら総合プロデュースする方向へ変化したと山根氏は説かれる。地域活性化とツーリズムは密接した関係で、財政難で公共セクターが身動き出来ない今、市民イニシアチブで全国各地域の人達が自ら問題と立ち向かい、地域の課題解決をしていく時代となった。


 旅館吉田屋は創業明治43年(今年創立100周年)、大正時代建築の木造三階建、温泉郷特有の間口が狭く奥に広い敷地で「重要伝統建造物保存地区の伝統的建築物」に指定されている。島根県大田市温泉津町は残念ながら公共交通は不便な立地だが、近年世界遺産に指定された石見銀山からほど近い。しかし過疎化と後継者不足による相次ぐ旅館の廃業という地域問題があり、市民バンク代表の片岡勝氏の発案により新しいビジネスモデルとして山根氏が「継承創業」されることとなった。


 山根氏は継承半年後、先代の売上を超えた際に旅館業を週末3日間に絞り、平日4日間を地域貢献活動として地域問題の解決に費やす決定をされた。これにより旅館業をツールとして、若い人が地域で活動することで自分達の利益のみならず島根県、ひいては日本にモデルを作って還元するという当初目的を達成していく道にもつながった。ただし、昔と比べ若い人達が一つの場所に留まることは現状では難しく、過疎化地域に一つの仕事を行って生活できる時代でもない。そこで、社会企業家を目指す人やインターンシップを経験したい人々を受け入れ、若者内でも事業の継承を行い、お互いを評価し合うシステムを設けている。各々が見つけた地域問題は、地元のおばあちゃん達を巻き込むもったいない野菜の流通販売や、都会の人を巻き込むバーチャル蕎麦農民制度など、地方と都会を結ぶ事業へと発展した。


 また、山根氏は旅館業の他に山口・島根を中心に地域維新グループを総括され、農業においての「継承創業」の実践や、就職より創職という視点の提唱をされて、地域プロデュースを行える人材育成にも力を入れている。受講生からは人材育成のポイント、集客方法、インターンに来る人々の状況、山根氏ご自身の立場、マーケティング、旅館の収支、継承創業の情報等様々な質問があがり山根氏にご説明いただいた。


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