2010年2月13日

森と地域を再生させる新たなビジネスモデルの構築と展開~岡山県西粟倉村の事例    牧 大介(株式会社西粟倉・森の学校 代表取締役)

牧さん2.jpg 西粟倉村は岡山県の北東端に位置し、四方を山に囲まれた人口約1600人の村である。市町村の合併が進む中、西粟倉村は自立の道を選択した。村の9割以上を閉める森林は、もとは入会の森で耕作牛の採草地として地区ごとの管理であったが、耕作機械が導入され山に人が入らなくなり荒れ始めたため、植林されるようになった。しかし間伐等の管理は個人負担だったため、高齢・過疎化した地区では管理が困難となった。そこで、森林を村の共有(地域とファンとの共有という意味も含め、「再びの共有」と表現される)とすることで管理を村に集約させ、村全体で持続可能な森林経営をめざす「百年の森林事業」を2009年から開始されている。森を管理するためには資金が必要で、その資金には「共有の森ファンド」を設立し、村外に西粟倉のファンを獲得して森林の魅力と重要性の認知化を図っている。「森の学校」は西粟倉村で地域商社の役割をもち、西粟倉村や森の魅力などを発信するため2009年4月に西粟倉村主催で発足したプロジェクトから同年10月に法人化した。約10年前に廃校になった木造校舎「影石小学校」を事務拠点とし様々な企画・開発や運営等をおこなっている。山を放棄することは自然災害で土石流を引き起こすだけでなく、それまでに努力して植林・管理してきた人々の想いをも無に帰してしまうことを意味すると牧氏は述べる。講座中に紹介された、若い世代が森や木(管理・先代の思い)を受け継ぐ気持ちを表現するインタビュー映像が大変印象的であった。


 村内には「雇用対策協議会」を設置し村・プロジェクト全体の人事部として、村外からのリクルート・定住・起業支援を行っている。その結果2007年からIターンで約40名が定住し、村の祭りや行事運営に重要な役割を果たしている。また、森の学校は西粟倉の地域財産である「木」を商品として、大量生産はできなくてもきめ細やかな対応ができることを強みとして、木材製品の販売や内装材の開発、住宅の設計・建築までをセットとした事業等を進め雇用も創出している。


 受講生からは事業開始までの困難な経験、利益創出と地域貢献のバランス、再びの共有化の意味、ファンド設立の経緯、輸入材との競争ほか様々な質問があがった。


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